Caplio R1 レポート3
手ぶれしやすさについて 
2004.12.2

DigitalWalk
屋内や夕暮れ時にR1を使っていると、 すぐにシャッター速度が落ち込んでしまい、 手ぶれ対策が必要になることがあります。 レンズの開放F値が大きいために手ぶれに不利なことは予想できるのですが、 実際どの程度手ぶれしやすいのか調べてみました。
手ぶれのしやすさには、レリーズの感触や、 ボディの持ちやすさも関わってきますが、 数値的に表せるものではないので、 ここでは「手ぶれしやすい」=「シャッター速度が遅い」 として話を進めます。

(1)レンズの暗さの問題

R1の広角側での開放F値は3.3で、 一般的なデジカメのF2.8に比べると少し暗いレンズと言えます。 どれくらいの違いかというと、約0.5EV=半絞りです。 log2(3.32÷2.82)≒0.5
   ※EVは絞りとシャッター速度を合わせた露出の値で、 EV1の差は明るさが2倍違うことに相当します。

これは、F2.8のカメラが1/30秒のシャッターが切れるときに、 1/20になってしまうということです。 また、+0.5の露出補正をかけたときのシャッター速度の違いと同じです。
確かに手ぶれ上は不利ですが、 この違いだけで「手ぶれしやすい」ということはできないと思います。

(2)実効感度の低さの問題

下の2枚の写真は、Canon PowerShot S30とR1で、 絞り・感度等の条件を同じにして、 自動露出でほぼ同じ明るさになるように撮ったものです。 ところがS30はシャッター速度1/125秒なのに対し、 R1は1/34秒まで遅くなってしまっています。
この差はEVで1.8で、約2絞り分とR1の方が感度が低いと言えます。
S30が1/30秒のときにR1は1/8秒、 別の言い方をすれば、S30のISO100と同じシャッター速度を出すためには、 R1ではISO400に上げなくてはいけないということです。 オート感度だとISO154(だったかな?)までしか上がらないので、 暗いところで普通に撮っていると手ぶれの可能性は高くなります。


Ricoh Caplio R1
ISO100、F3.6、1/34s、EV8.8

Canon PowerShot S30
ISO100、F3.5、1/125s、EV10.6(+1.8)
オリジナルの640×480を縮小していますが、Exifは残っています。
いずれも中央重点測光で、 0.3EVずつ露出をずらしながら-2から+2まで撮影し、 S30はR1の補正無しとほぼ同じになった-2/3のものと比較しています。
R1の画角はステップズームで35mm相当に合わせたのですが、 なぜか広くなります。S30は広角側35mm相当です。
S30はソフトで撮ってしまったので、 後でアンシャープマスクをかけ見栄えを同じにしています。

R1は高感度でもノイズが目立たないと言われますが、 実際の感度が低いゆえだとすれば、得していることにはならないと思います。
S30は1/1.8インチ300万画素という余裕のあるCCDを積んだ機種なので、 こちらの実効感度が高いという可能性もありますが、 それでも差が大きすぎるのではないかと思います。 最近の極小画素機の感度がこんなものなのでしょうか? R1と他の機種をお持ちの方は、検証していただきたいと思います。

高輝度の場合の比較

Ricoh Caplio R1
ISO100、F5.9、1/310s、EV13.4

Canon PowerShot S30
ISO100、F5.6、1/1000s、EV14.9(+1.5)

室内で4機種比較
FZ1とJ1がほぼ同じで、R1より約1EV感度が高くなっています。
あいかわらず、S30はさらに明るい露出値を示しています。
この4機種の結果だけで決められるものではありませんが、 R1のシャッター速度が遅い、もしくは遅く表示される傾向があるということは 確かだと思われます。
※参照: takebeatさんによるR1とE20の実シャッター速度の比較実験

Ricoh Caplio R1
ISO100、F3.6、1/3s、EV5.3(0)

Canon PowerShot S30
ISO100、F3.5、1/8s、EV6.6(+1.3)

Panasonic Lumix DMC-FZ1
ISO100、F3.7、1/5s、EV6.1(+0.8)

SANYO Xacti J1
ISO100、F2.9、1/9s、EV6.2(+0.9)
すべてカスタムWBを取ったのですが、結果的に色がばらついてしまいました。 ご容赦を。
R1、S30、FZ1は焦点距離35mm相当(R1のステップズームは嘘臭いですが…)ですが、 J1は37mm相当です。
また、J1は絞りが固定できないためF値も他機種との差が大きくなっています。



(3)測光誤差の問題

R1は露出オーバーになりやすいと言われており、 露出補正-0.7を推奨する人もいます。 特に室内など暗いケースでオーバーになることが多いらしいです。
私はまだ検証していませんが、 露出オーバーが事実だとすれば、 これもシャッター速度を遅くしている原因と言えます。


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